こんにちは。下田です。

スポーツビジネスから体操界の未来を考えてみるコラムの第2回目です。第1回目では日本のスポーツビジネスの全体像と体操の競技人口について触れました。

今回は海外のスポーツビジネスの事例を見てみましょう。

 

まずは野球を例に見てみます。

NPB(日本のプロ野球)に比べてMLB(アメリカのメジャーリーグ)は非常に規模が大きいイメージがありますよね。ですが、20年前のリーグ全体の売上を比べると、NPBが約1,200億円なのに対し、MLBは約1,400億円と、200億円ほどの違いしかありませんでした。

ですが、現在の状況を見てみるとどう考えてもMLBの方が規模が大きいですよね?

その感覚は正しくて、現在の売上を比べると、NPBは20年前からほぼ横ばいで推移しているのに比べて、MLBは約1兆円にまで拡大しているのです。つまり、MLBは20年の間で売上高においては、約10倍弱の成長を遂げているのです。

チーム別に見てみると、NPBで一番の売上高をもっているソフトバンクホークスが約270億円なのに対し、MLBで一番の売上高を持つニューヨークヤンキースは550億円と、2倍以上の差があります。

この数値が表すものは、アメリカのスポーツビジネス市場は20年の間に順調に成長しているのに対し、日本のスポーツビジネスは大きな成長ができていないことを指しています。

 

サッカー界を見てみても、この事実を裏付けることが可能です。

20年前、世界には売上1,000億円を超えるリーグは存在していませんでした。

しかし20年後の現在はというと、イングランドが約4,000億円、ドイツが約2,800億円、スペインが約2,700億円、イタリアが約2,400億円、フランスが1,200億円と、欧米主要リーグは20年前には超えられなかった売上1,000億円の大台を突破しているのです。

比較して日本のJリーグは700億円。ちなみに20年前のフランスは現在の日本よりも売上は少なかったといいます。

20年前と現在を比較するのは諸条件を考慮すると少々乱暴ではありますが、しかしながら海外のスポーツビジネスは確実に成長していることはお分かりいただけるでしょう。

 

ここまでは売上という数値しか見ていませんが、この成長の裏にはどんな工夫が隠されているのでしょうか。

ここからは具体的な海外のスポーツビジネスにおける取り組みについて見てみましょう。

 

まず、WTA(女子テニス協会)。

こちらはエンターテイメント化戦略を徹底した成功事例を持っています。

WTAファイナルの開催地にシンガポールを選び、開催を決行しました。

シンガポールといえば、カジノの誘致によって観光収入がGDPの6%以上を占める観光立国ですが、その土地で試合を行うことによって、コアなテニスファン以外でも楽しめる、一大テニスイベントとして、テニスの大会を昇華させました。

こういった外面だけの変革だけでなく、ルールという内面の部分にも大胆な変革を起こしています。

今までコート内にはコーチの立ち入りは禁じられてきたテニスにおいて、コート内で選手にコーチングすることを許可する「オンコート・コーチング」というルールを適用し、試合のリアルタイムデータを活用できるようにしました。

これによって、戦略はより複雑になり、見る側にも新たな楽しみ方を提供する結果となりました。
このようなテクノロジーを駆使した、一歩進んだユーザーエクスペリエンスの提供はNFL(フットボール)やMBA(バスケットボール)でも行われており、スポーツをより魅力的に、より面白くしていると言えます。

 

ここまで海外のスポーツ事例を見てきました。

ここからわかるのは、まだまだ日本のスポーツには変革の余地があり、スポーツビジネスとしても拡大していく伸び代は大いにある、ということです。

 

次回は日本のスポーツ界の取り組みについて見ていきたいと思います。

海外と日本を今回は比べてみましたが、日本で何も行われていないわけではありません。

その日本の取り組みについて、そして、そろそろ体操界のことについても触れていきたいと思います。

 

それではまた次回!