GYMNASTS連載コラム第一弾「ビジネスから体操界の未来を考えてみる」の第三回目。

今回は日本のスポーツ界の取り組みと体操界の現状について見ていきます。

過去の記事はこちら ⇒ Vol.1 Vol.2

こんにちは。下田です。

リオオリンピックが幕を閉じ、現在はリオパラリンピックが絶賛開催中ですね。

体操男子団体は金メダル、そして内村選手は個人総合金メダル、女子団体も4位と体操ニッポンは素晴らしい成績を収めてくれました。

これで少しでもさらに体操を好きになってくれる方が増えたらいいと思っている筆者ですが、今は長らく間が空いてしまった連載コラムの第三弾を重い腰を上げて書いているわけであります。汗

 

前回は海外のスポーツビジネスの事例を見てきましたが、今回は日本のスポーツビジネスの取り組みと、少し体操界の状況についても見ていきたいと思います。

 

 

日本のスポーツ界隈で話題になったことの一つに、バスケットボールリーグがあるかと思います。

2つのリーグが並立している状況に対して、国際バスケットボール連盟が「それじゃ国際試合に出してあげないぞ!」と怒った問題です。

というのも日本にはもともとリーグが存在していたのですが、プロリーグ化がなかなか進んでいないとかなんやかんやありまして、それまで1部リーグに所属していた新潟とさいたまが「あたらしいリーグつくったるわ!」てな感じで新しいリーグが誕生しました。

これがbjリーグというリーグで、地域密着型の安定経営を目指したリーグでした。

その後も新しいリーグができたり、なんやかんやがあったのですが、バスケットボールの話をしたいわけではないのでここでは割愛します。(なんやかんやを詳しく見たい方はこちらをご参考ください)

 

ここで重要なのはプロリーグとしてきちんとリーグやチームとしての収益や地域との関係性、選手の育成などをやらねばならないという意識がある点です。

実際にバスケットボール界も紆余曲折はあったものの、現在はリーグが一本化されてプロリーグとして開幕が待たれる状態となっていますし、野球界でも新たな独立リーグ「BCリーグ」が2007年から動き出し、約10年が経とうとしています。

いずれもリーグを発足してから、参加するチームは増加しています。

こういったプロリーグ化の動きや、独立リーグ設立の動きは、競技の活性化につながるだけでなく、地域密着型経営によって、地域の活性化にもつながっていきます。

 

上記のように、日本は日本で競技ごとに様々な働きかけが行なわれているのです。

 

しかしながら、野球もサッカーも、バスケットボールも、いわゆるメジャースポーツ。

体操はどうでしょうか。

少し前のデータですが、2011年の段階で日本体操協会の協会登録者は約3万人。

野球は約140万人(各統括連盟への登録チーム数が約7万チーム、1チーム20人計算)、サッカーが約89万人、バスケットボールが約60万人という中で、体操はまだまだマイナースポーツと言わざるを得ません。

野球やサッカーなどとは土台となる人口が違い過ぎるため、具体的な施策として参考になるかというとそうはいかないですね。

 

ではなぜ、体操の人口は増えていかないのでしょうか。

 

一つの問題としては、体操器具の価格。

例えば床のフロア1面だと、約1500万円ほどになります。

その他種目や、それを配置する空間まで準備するとなると、体操の器具類だけで数億円規模の投資が必要になってしまうのです。

 

これらを考えると、ジュニアを育成する体操クラブを新たに設立するとしても、なかなか簡単にとは言い難い状況です。

日本に点在する体操クラブも、経営としては大変窮屈な状態を強いられてしまうのです。

 

さらに、体操競技には野球やサッカー、バスケなどと違い、プロとしてある程度まで選手として生きていける環境がないので、高額な投資をして育成しても、国際大会で結果を残せるような選手以外は長くて大学でその選手生命に終止符を打つこととなるのです。

金銭的物理的投資だけでなく、その選手一人ひとりが体操に費やす時間は計り知れません。

幼少から競技を始め、20数年という人生のほとんどを体操に費やしても、選手として生き残れる人数はわずか。

生き残るという形式にはいろいろあるかもしれませんが、それまでの投資に見合う形で選手生活を送れる選手はわずかでしょう。

 

育成する側も選手も、多大なる投資の先に待つ現実がこれでは、あまりに夢がないのではないでしょうか。

 

もちろん、経済的成功や社会的成功だけが体操を続ける目的ではありませんが、果たしてこの状況が体操界のさらなる飛躍につながるでしょうか。

 

少し前、武井壮さんがフェィスブックでこんなことを語っていました。

私はこの意見にとても共感を得ました。

 

体操界としての体制や取り組み、選手や育成側の意識も、少しずつ変えていかなければいけないのではないでしょうか。

 

体操という競技が多くの方に認知され、オリンピックなどで選手の活躍に世の中が視線を向けるようになった今日において、体操界がさらに盛り上がっていくには、変革が必要だと思います。

 

 

 

今回は日本のスポーツ界の取り組みと、体操界の現状をみてみました。

次回は、体操界の現状を踏まえて今後どうしていくべきか、具体的な施策について考えていきたいと思います。