連載企画第2弾は、コンディショニングトレーナーとして新潟市を拠点に活躍する山崎圭さんによる、体操選手を支えるスポーツトレーナーの役割や具体的なトレーニング方法について書いていただきます!

現役選手の方や指導者の方、同じくトレーナーとして活躍する方々のお役に立てれば幸いです!

はじめまして、新潟市のこん整形外科クリニックでスポーツトレーナーをしている山崎圭と申します。

 

 

私は小学校5年生の時に面白そうと思って体操競技の世界に飛び込み、そのまま大学4年生まで現役で12年間選手として競技をやってきました。

その後、大学院生の時は女子コーチとして母校の大学で指導させていただき、社会人になってからは週に2度ほど時間を作って、やりたいことを好きなように遊び感覚という感じで体操の練習していました。

27歳のとき、試合で右膝の前十字靭帯を断裂してしまい、そこで体操をする側としては一区切りをつけ、現在の職業であるスポーツトレーナーとしての勉強を本格的に始めていきました。

もちろん、たまに体操をして身体を動かしながら、学んだ知識や動きを現場に還元できるように確認をしながら試行錯誤をしたりしています。

 

 

私は身長が176㎝と体操選手としては大型であり、俗に言う体操体型とはほど遠い選手でした。

大きいが故に、理にかなっている動きでないとうまく技ができない。

体を吊る動作や力技が弱く、身体をコントロールしきれない。

手首の腱脱臼や膝の靭帯損傷などの大怪我をしてしまい、競技から離れなければいけない時期があった。

などなど、選手としての悩みがたくさんありました。

 

 

このようなことがあったからこそ選手の時から

 

「どうしてできないのか」「どうやったら効率よくできるのか」

 

ということを考えることに興味をもち、身体と向き合って解明していきたいと思い、このスポーツトレーナーの世界に飛び込みました。

 

 

現在の私の職種であるスポーツトレーナーの中でも、私はコンディショニングトレーナーという立場で仕事をさせていただいております。

 

コンディショニングトレーナーというのは、人間の基本的な動きが正しくできているかを評価し、競技の課題に向けて今現在その選手・チームに何が必要なのかを見つけだし、運動生理学・機能解剖学・運動力学の3つの柱をベースに、機能改善等のコンディショニング・パフォーマンスアップのためのトレーニング・内科的要因に働きかけるアプローチなどを行って、問題を解決していきながら選手・チームをサポートすることができるトレーナーのことを指します。

コンディショニングトレーニング

実際にどのようなことをしているかというと…

 

 

例えば、体操競技の倒立で肩がうまく入らず、腰も反ってしまうという選手がいるとします。

それなら、肩が入るように柔軟性をあげたり、体幹を固めて反らないようにしたりするなどのトレーニングをすればと考えると思いますが…

 

 

もし、肩と腰の間にある胸部の柔軟性(特に伸ばす動き)が足りなくてきれいな倒立ができないのであれば、肩の柔軟性を改善しても、腰が反らないように体幹を強くしても倒立の質は改善しません。

また、胸部の柔軟性をカバーするために肩を過剰に動かすこととなり、肩関節が不安定になってしまったり、腰部に過剰なストレスがかかってしまうので腰痛になったりすることもあります。

 

 

胸部の柔軟性が増すことにより、肩や腰が過剰に動かされることが減り、障害を予防することできます。

これに付随して、競技を全力練習できる時間が増えたり、身体の動かせる範囲が広がることで新しい技ができるようになったり、効率よく動かせるので疲れなくなったりと、障害の予防からパフォーマンスアップまでを一貫してアプローチできると考えられます。

腰が痛いからといって腰だけをマッサージするのではなく、その原因がどこにあるかを見極めて改善することができないと、痛みのイタチごっこを繰り返すだけとなってしまいます。

※原因が腰にある場合もあるので、そのときは治ります

ストレッチ

身体のうまく操作できない部位を修正していくことで、身体の動きは滑らかになり、力も伝わりやすくになっていきます。

それが身体一つで力強く、美しく、華麗な動きを表現する体操競技では最も求められていることだと私は考えています。

 

 

選手の身体・動きをしっかりと評価し、戦略を立てて選手・チームと向き合っていき、障害予防のための機能改善からパフォーマンスアップのための機能向上までつなげていく。

選手の安全を守りながら活躍できる身体を作っていくことが、コンディショニングトレーナーに求められていることだと感じています。

 

 

ここでは、私が日頃から体操競技のために行なっているコンディショニングトレーナーとしての取り組みを通して、少しでも多くの選手・チームのサポートの一助になれたらという思いで、これから5回にわたって連載させていただきます。

 

次回はコンディショニングトレーナーから見た体操競技の身体の動きというテーマで書きたいと思います。